にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 しっかしすごい雪だな。店の前に行くまでには門から庭から大量に降り積もった雪を突破しないと玄関にたどり着けなさそうだ。門の中に入ると動きづらく、よたよたしながらとにかく進んだ。


 玄関口に屋根つけといて良かったよ。玄関口だけあまり雪が積もってない。ジーンズにもコートにもついた雪をバンバンと乱暴に払い、店に入った。


 うおッ! 寒い。ブーツを脱ぐと思っていたとおり、靴擦れを起して血が滲んでいる。足のつま先からも血が出ていたし、人差し指の爪が親指に食い込んで血が出ている場所が特に痛い。他にも小指や他の指にも水膨れができて痛々しい。


 休憩所のところに新聞をひいてそこにブーツを投げ出して店用のサンダルに履き替えた。椅子に座りなおすと救急箱から出した絆創膏を血が出ているところに貼ってみた。

 これで少しはいいだろ。今日は休みになってしまうだろうか。あずちゃんもまだ来てないし。あずちゃんの住んでるところはここから近いけど車で15分はかかる。歩いてくるにはちょっと無理があるのよね。



 しかもあずちゃんのアパートはかなり上の方にあって除雪車も入らないよなところ。もしかして車が出てこれないかな。店の玄関の方でガチャリとドアを開ける音がした。


「あずちゃん?」

「由比子さんッ?」



「火伊くん……どしたの?」


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