にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「すごい雪だったから心配で……」

「……ふぅん」


 息を切らして紅潮させた頬はすごく急いで来たっていうのを物語っている。……折角、来てくれたんだ。働いてもらおうじゃない。この大雪の中、駆けつけてくれて、しかも開店の準備まで(勿論、雪かき)手伝ってくれるんだったら、仕入れを増やしてあげないこともない。


「由比子さん、大丈夫そうでホッとしました」


 ホントは足がとても痛いけど、そんなことを打ち明けて情けをかけてもらうつもりはない。だから、「私は大丈夫だけど、店が大丈夫じゃない。雪かき手伝ってくれる?」と悪魔の微笑みを彼に向けた。

 だけど、彼は素直に「ハイッ!」と、大きく嬉しそうな返事をする。なんだ、つまんない。もっと「えーーーーーッ!」とか言うの期待してたのに。


 私と火伊くんは外に出てママさんダンプ(除雪用具のひとつ)とスコップを出してきた。靴も長靴に履き替えて戦闘準備開始! 玄関までの道のりと店の前の道路はなんとかしないと近所のオバサマ方に怒られる。


 なんとかなるさ、やる気があれば!



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