にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「お楽しみ中のところ、悪いんだけど雪かきどうしちゃったのよ」
「!!」
あずちゃんの声に驚いて後ろに飛び退いたビーグルはロッカーにガタガタとぶつかってよろけた。口を手で隠してさっきよりも顔が赤い。
「あ、あずちゃん! 遅いよ!」
「これでも急いで来たんだっつーの。ホントすごい雪だね。早く片付けちゃおうよ」
「あずちゃん……私、ぎっくり腰……」
あずちゃんを見ると顔が『うげッ』となったから、ちょっと笑いそうになったけど、私は友達の前で感情を隠さず表してくれるあずちゃんが好きだ。雪かきはビーグルと頑張ったけどそれでも半分以上、店先は雪で埋まっている。
「マジで! まあ、でも今まで頑張ってくれたから、後は私が頑張るよ。由比子ちゃんはソファで休んでなさい」