にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「さ……皆さん、遠慮せずに……」


 私は配達されたお弁当を動けない身体で二人に勧めた。二人はテーブルについてお弁当を開ける。その大したことない行動でさえ自由に動けて羨ましいと思う。ビーグルが私に食べさせようとしたけどそれだけはイヤ、と断固拒否して呆れ顔のあずちゃんに食べさせてもらう。


 それでもなんだかんだ、と言いながら、こういう時はちゃんと心配してくれるのがあずちゃんだ。


「由比子ちゃん、大丈夫? 病院行く?」

「俺、おぶって行きますよ!」


「だから、背負うとか無理だって……でも、今回は軽そうだから、横になってれば治っていくと思うんだけど。幸い、明日は定休日だし」


 ジーンズを履いた足を広げ、背中を丸めて腰を押さえる。かなり不格好な姿けど、これが一番楽なような気がするんだ。


「じゃ、タクシーで俺、送って……行きます!」


 お口をモグモグさせながら、ビーグルは持っている箸を上に高々と上げた。なんで、そんなに張り切ってんのよ……こっちはこんなに辛いのに。


「火伊くん、悪いねぇ。じゃあ、由比子ちゃん送って行ってあげて」

「う……お願いします」


 今回ばかりは断れない。



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