にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「そこ、笑うとこじゃないわよ、火伊くん」


 私はやっと落ち着ける姿勢を見つけて前かがみでしたから見るようにビーグルを睨んだ。するとビーグルは「なんか可愛いな、と思って。だっていつも強気な態度の由比子さんしか見たことないから」という。


 私だって痛い時は痛いって言うし、痛みがあれば顔を顰める。それに伴って弱気な発言だって出るわよ。私だって女の子だもん。



「ずっと気ばかり張っているからこんなことになっちゃうのかな」


 あららら! やっばい! ビーグル相手にまた弱気発言しちゃった。私は少しだけ激痛が走る背中を伸ばして自分に喝を入れる。イカンイカン……鉄壁が売りなのにガラガラと崩れるとこだったぞ、私!


「由比子さん、俺……由比子さんの弱いとこも勝気なとこも全部、全部……受け止めたい」


 ドキュン。

 来たよ、コレ。


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