にゃんこ男子は鉄壁を崩す
もう夕方の5時も過ぎた頃。辺りは既に暗くなっているので部屋の中も勿論、暗い。ぐっすりと私は眠っていたらしく、起きたのはインターホンの音で目覚めたからだ。頭をボリボリ掻きながら、とりあえず、暗闇の中でリビングの照明のボタンを探す。
「イタァァ……」
激痛にまた顔を顰めながら、また壁伝いになんとか歩いた。そこまで行くのにも腰が痛くてかなり時間がかかる。パチンと光が灯されると急に明るくなった室内に少し目が眩んだ。
来客の人間はもういないだろうな、と思いつつ照明のボタンのそばにあったインターホンのディスプレイを覗き込むとそこにはなんとミィコが立っていた。
「ミィコ……? どうしたの?」
「ん、ちょっと開けて」
どうしたの、と聞いているのに理由を説明しないミィコ。また玄関を開けるためにあそこまで歩かなきゃイケナイのかと思うとはっきり言って面倒臭い&ため息が出る&痛くてできれば行きたくない。
……それにこんな情けない姿、ミィコに見られたくないし、今朝のキスも思い出したくない。
「何の用か言ってくれない?」
できればインターホンで用件を言って自分の部屋に帰ってくれないかな、と願うけど神様は私には優しくないんだった。
「んーとね。重要な話。玄関越しには言えないかな」
だって、ほら、全然帰る気配ないじゃない。