にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 しっかりしてそうだから、部屋の中も綺麗に片付いてるのかと思えばそうでもない。漫画や雑誌はテーブルの上に置きっぱなしだし、コートも2着が出しっぱなしだ。

 1着は今日、体調が悪そうだから仕方ないにしてももう1着は完全に昨日、着たものだろう。こういうのを見ると片っ端から片付けたくなる。


「ミィコ、鍋、この棚の上」

「ほーい」


 台所でも腰を押さえて辛そうな由比子。どうやら、腰痛らしい。でも、今朝はそんな様子なかったから、ぎっくり腰かな。そんなことを考えながら、すき焼きの準備をする。由比子はソファでぐったりとしていた。


「ミィコ……」

 ソファに横になりながら由比子は俺に話しかける。横になってはいるが、腰痛はかなり酷いらしく、常時辛そうな面持ちだった。


「んー?」


「重要な話って……何?」

「うん、だから、コレ」


 俺は松阪牛を指差して言った。由比子は思い切り、不満気な表情。

 あは、怒ってるし。


「コレ?」

「うん、すき焼きしたくて。一人じゃつまんないから、由比子と食べたくてさ」


「……それって……重要……?」

「重要だろ! だって折角の松阪牛だぜ? 一人で食べるなんて勿体無いじゃん」



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