にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「ああ、チーズあるんだ」


 俺は徐に台所に立って包丁を持つ。手際よくトマトとモッツァレラチーズを切ってアボカドをスプーンでくりぬいた。後は俺のオリジナルドレッシングで味付け。和さびが決めてのこのドレッシング。


 ん、美味い。


 小指につけて舐めてみると自分で言うのもなんだが、いつも以上に上手く出来たような気がする。


 右手には缶ビールとチューハイ。左手にはいつも以上に上手くできたカプレーゼ。コトン、とテーブルの上にカプレーゼが乗った皿を置くと目だけをちろ、と動かし、由比子は俺を見ている。


「由比子、美味しいから、食べてみて」

「……うちの食材だもん」


 由比子の家の食材で作ったから、美味しいのだと言いたいわけね。


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