にゃんこ男子は鉄壁を崩す
北海道だというのにリビングの備え付けの暖房だけじゃさすがに寒い。だけど暖房費はできるだけ節約したい。リビングの暖房だけで足りないな、と思ったら上にパーカーを着たり重ね着をしたり、毛布を足したりして寒さをしのぐのは当たり前だ。
今日も例外じゃない。彼をここに残して寝室に寝るのは不安なので(泥棒まがいのことをした前科がある。誤解だとしてもアレはかなり怪しかった)、私もここに寝ることにした。
翌朝――――
目が覚めると、なんだかいつもソファで寝てしまって起きるときよりも暖かい気がする。ああ、暖かい。私の部屋は寒いから、暖かいこの場所から抜け出すのが勿体無い気がした。
目を瞑ったまま、ぬくぬくしていると……ふとあのココアのような甘い香水の匂い。
……ん?
ココア?
顔を上げるとそこには茶髪のにゃんこミィコがスゥスゥと寝息を立てている。
……………………はぁ?!
私は飛び起きたよ、勿論。
「……起きた? 由比子……おはよう」
「アタッ……アタタタタ!」
そうか、私はミィコに抱かれながら寝てたんだ! だから暖かかったのか! 腰が痛すぎて飛び起きたもののミィコの胸の中に再びスッポリと収まってしまった。
……無念!