にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ミィコの腕の中で自分が服を着ているのを確認してホッと胸をなでおろす。いくらなんでも腰痛で苦しんでる女を襲ったりしないか。暫くこの体勢でミィコの腕の中にいた。

 それでも、ミィコは私を抱きしめたままだ。腰は痛いけれど、ココアの甘い匂いになんだか安心する。だけど、抱きついたままでいられないのが鉄壁女の悲しいところ。

「イタタ……ミィコ、そろそろどけてよ」

「ヤダ。珍しく由比子可愛いんだもん。勿体なくて離れらんない」


 珍しくってのは余計だけど『可愛い』なんて何年ぶりに言われただろうか。しかもこんな年下の男の子に。ちょっとだけ心臓をドギマギさせながら、私は彼に懇願した。


「お願い、ミィコ。どけてよ……」


 いつもの調子なら強気で言うとこだけど、今の腰の状態で彼に抱きしめられているということは私の身体の自由はミィコの手中にある。そのせいかミィコは余裕の表情。

 だから、お願いするしかなかった。

 だけど上目遣いで見たのは可愛いって言われたからじゃないよ?




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