にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「由比子、抱きしめられながら、そういう顔……してもいい?」
だから、違うって! う、上目遣いで見たのはこの至近距離で彼の表情を確かめるためにはどうしても彼の顔を上目遣いで見る格好になってしまったんだ。
「はっ?! 何を?」
「キス、したい」
「……ッ!」
『キスされたそうなそんな顔してない』と言いたいけど拒絶したいけど、いきなりのことに言葉が出てこなかった。ミィコが下を向きながら私に話しかけると丁度、ミィコのブラウンの髪が髪の色と似た目にかかる。
それが、なんとも綺麗な顔で。やっぱり、ミィコの顔は綺麗だよなぁ、なんて暢気な考えに思考がすり変わると、またまたミィコが私を現実に引き戻した。
「何も言わないならしちゃうよ」
その言葉が終わるか終わらないかのうちに唇は奪われる。
「ん……んーッ……」
電車の中でした触れるだけのキスとは違った。無理矢理にこじ開けられた口の中には遠慮なく舌が絡んでくる。お互いの唾液が混ざり合い、息つく暇もないキスに酸素が足りないのか頭がボーッとしてくるけど、私は彼の胸を強く押した。
「……もう、充分でしょ……ッ! 早くどけてよ」