にゃんこ男子は鉄壁を崩す
私が答えないでいると「寒―い。由比子と離れたくなーい」と言って、さっき、ムラムラするから離れる、と言ったミィコは私を抱いたままソファの上でまたぬくぬく寝づくろいをする。
「もう、いい加減離れてよ。ホント、腰痛いんだから」
「わかったよ、由比子。じゃ、代わりに欲しいモノがあるんだ」
ミィコはやっと起きて離れたけど、何やら私に要求しようとしている。
「な、何?」
「うわ、また警戒してるし! 俺、信用ないなぁ」
オイオイ、ミィコくん。自分の今までの行動考えてみ? 2回もチューしたんだよ!? しかも勝手に一緒に寝てるし!
「代わりにっていうの納得いかないけど、はやく言ってよ。気になるじゃん」
「アボカド、一つちょーだい、由比子」
「ア、アボカド?」
なんだ、それだけか。緊張して損した。がっかりは断じてしてない。鉄壁の私が変な期待なんてするはずなかろーが。私は冷蔵庫を指差して「勝手に持って行っていいよ」と言った。
アボカドたった一つ手にして何かを企んでいるのかニヤリとした。なんなんだ、ホントにお前は。いたずらはもうお腹いっぱいなんですけど、わたし的には。