にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ……これはさっきのアボカドさんじゃぁ、あーりませんか。昨日もカプレーゼ食べましたけど? 綺麗に切られたアボカドにマグロのお刺身と納豆、長ネギの微塵切り、白ごまがふりかけられていて朝ごはんにはぴったりだ。でも、何度も言いますけど昨日もカプレーゼ食べましたけど? 


「由比子、あーん」


 まだすき焼きを口にしていなかった私のお腹はもう限界だとSOSを出してくる。だから、恥ずかしげもなく『あーん』と口を開けてしまった。


 モグモグモグモグ…………美味いな、コレ。


 納豆はただの納豆じゃなくてシソも入ってるな。いいアクセントになってる。ふわり、と香るシソとマグロの赤身がよく合っている。


 シンプルだけど美味いな、マジで。


 「ごちそうさまー」そう言うとミィコは立ち上がって食器を片付け、私の食べ終わったお皿までも洗い出す。おお、なんと躾の行き届いたネコちゃんなのだ! 懐かれてちょっとウザかったと思ってたよ、ごめんよ、ミィコ! 


 食器を洗い終わったミィコが私の前に来て何かを待っている。


 ……?



「ご褒美ちょーだい」

「は? アボカド?」

「アボカドはもういらないよ」


 私は一生懸命考えた。

 ミィコが欲しがるモノって一体なんだろう? 


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