にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「わかんない?」
「うん、わかんない」
大きな目をパチパチさせて顔を近づけるミィコ。イチイチ、顔を近づけすぎるんだってば、君は。
「ホントにわかんない?」
繰り返されるその言葉に若干嫌な予感を覚える。腰が痛いので急激な移動はできない。だけどなんとなくミィコから遠ざかりたい一心で「今日はありがとね。そろそろ行かないと仕事遅れるんじゃないの?」と言う。
何のお仕事をしてるのかなんて知りませんけども。私は早くこの大胆な猫がこの部屋から出て行ってくれないものかと思って言ったんだよ。
「まだ大丈夫」
更に近くなる距離に私は露骨に嫌な顔をした。だけどそんな意思表示はミィコには効かないんだった。
頭を掴まれて無理矢理重なる唇。
納豆を食べたばかりの口腔内はネバネバギトギトで。口を話す度に糸をひく。気持ち悪い納豆の味と糸。勿論、ミィコの肩を両手で力いっぱい押して「こらッ! やだ、ミィコ! 納豆食べた後にキスする馬鹿がどこにいんのよ! つーかッ! 性懲りもなく何するわけ?!」って怒鳴ってやったわよ!
「…………納豆菌の交換、かなぁ」