にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 隣とのベランダの敷居がガコっと何かがぶつかったような音がしたので私も驚いてその場に固まった。


「お姉さん、コレあげるよ」


 上を見上げると敷居の上に彼がよじ登って、差し出しているのは紙皿に横たわるサンマくん。色よくいい感じに焦げて私に『是非、あなたに僕を食べて欲しい』とサンマくんが言っているようだった。


「いらないんだったら、いいけど」

「食べます!」


 鉄壁の私がこんな餌付けのようなことをされて普段なら引っかからないけど今日はまあ……サンマくんに免じて。紙皿を受け取って「いただきます」と言ったところで彼の左手に持っているビールに目が止まる。


「それもください」

「ん?」



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