にゃんこ男子は鉄壁を崩す



 その日、ルンルン気分で帰路につく。玄関を開けてお気に入りのクリスマスの曲を鼻歌で歌いながら、コートを放り出し、うがいと手洗いをするために洗面所へ向かった。




 うがいと手洗いを済ませ、鼻水をかもうとしたら、洗面所の異変に気がついた。私は異変のもとを掴み、怒りが沸いて出たものをゴミ箱にぶつけて倒し、ミィコの部屋に走り出す。




 ピンポンピンポンピンポン……なんて生易しいものじゃない。連打してピンポンのポンが聞こえないぐらい押してやった。程なくして玄関ドアが開いた。




「あれ、由比子、どしたの。腰良くなった?」




「ちょっと、中入れてよ」

「ん、いいよ」




 ズカズカ、と中には入り、土足で踏み込んでやろうと思ったけどそこは踏みとどまって一応、靴は揃えて、そのあとで勢いよくリビングに入っていった。




「ちょっと、ミィコ!」

「何、すごい剣幕。なんかあった?」




「なんかって! うちの○ニーちゃんがなんでアンタの家にいんのよ!」




 ○ニーちゃんは誰もが知るリボンがついたネズミのキャラクター。ミィコが私の部屋から持っていったソレはでっかいドットの赤いリボンがついていてお気に入りのティッシュカバーだ。





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