にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 彼が持っているビールを取り上げたら、いきなりビールを盗られた彼が「うわッ!」と言って下に落ちたようだ。


 ベランダの手すりに身を乗り出して敷居の横から覗くと『イッテー』と言って顔をしかめている彼。


 あちゃー……申し訳ない気持ちはあるけれども早くしないとサンマが冷めてしまう。敷居の横から顔を出して尻餅をついている彼に「ごめんね? ……ごちそうさま」と言って部屋の中に戻った。



 おおーう! 目の前には食べたかったサンマとお酒。疲れた夜に他人が作った料理ほど美味しいものはない。


 ダンボールから醤油を取り出してサンマをつまみ、ビールをグイ、と喉に流し込む。



 あー……幸せ……



< 16 / 281 >

この作品をシェア

pagetop