にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「仁衣菜ちゃん!」


 ○×ビルのモニュメントの前で待ち合わせをしていた。仁衣菜ちゃんの姿を見つけて走り寄る。




 仁衣菜ちゃん、やっぱり可愛いなぁ。綺麗な色の膝丈のスカートにアンサンブルのニットが前を開けたコートから覗いている。同じニットでも私のニットとはエライ違いだ。女の子って感じがする。




「由比子さん、意外と気合入ってます?」




 うそッ! 気合入りすぎていると言われないようにスカートは避けてジーンズにざっくりニット、その上にコートを羽織るというラフな格好にしたのだけど。




「そんなこと……ないけど?」

「化粧が……」




 フっと笑うと私の全身を舐めるように見る。あー、服装ももっと女らしくしろ、とか思ってるかな。でも、いいの。気合入っている、と思われた方が恥ずかしい。




 そんなことよりも……はぅッ! 服装ばかりに気を取られていて化粧は自然と濃くなってしまったらしい! 無意識に! シンプルだけど派手すぎず、
ナチュラルな感じが理想だったんだけど……



濃かったのか……?!




 でも、今から一から直す時間なんてないし!




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