にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「変、かな……?」

「いや、可愛いですよ? 普段もそれくらいにすればいいのに」




「普段はいいの、普段は。つけまつげとアイライン引いてればそれなりに見えるから。最低限見られればいいんだよ」




「今日は可愛く見られたかったんですね?」

「う……まぁ……」




 うわ、心の内を覗かれたようでなんだか恥ずかしい。こんな歳の離れた娘にからかわれてるよ、私。



「なんか可愛いですね、由比子さん」

「もうッ! 早く行こうよ、工房に」



 照れ隠しに私は顔を見られないようにビルの中へ早足で入っていく。私の後ろを仁衣菜ちゃんが『待ってくださいよぉ』と言いながら、小走りでついてきた。


 工房に着くとそれぞれ、体験に来ている人たちは既に席に着いていた。私たちも空いている席に着くと程なくして講師の先生とその助手が部屋に入ってきた。




「!」




 講師の先生は仁衣菜ちゃんの言う通り、文句なしにカッコイイ。少し日焼けした肌も顎全体にある髭も気難しそうなその雰囲気さえもカッコイイ。




 だけど、私が気にしているのはその横にいる彼で。




 ミィコくん、君はどうしてそこにいるの?



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