にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「由比子さん、由比子さん」


「え?」



 不意に呼ばれて仁衣菜ちゃんの顔を見ると頬を桃色に染めてにっこりと微笑む。私が目をぱちくりとさせると「あの講師の松川先生の隣にいる助手の人」と小声で囁いた。



「うん」

「私、狙ってるんで由比子さん手を出しちゃダメですよ?」



 いやいや、手を出されたのは私ですけども。何度かキスされましたけども。だからといってこの状況で仁衣菜ちゃんにミィコにキスをされたことがあるなんて言えない。


 そんな私の葛藤にはお構いなしの仁衣菜ちゃんは話を続けた。





「でも、あと一歩だと思うんですよ。身体の関係あるんで。後から愛情ついてくることってありますよね?」



 身体の……関係……?

 つまり……ミィコと仁衣菜ちゃん……


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