にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「……何であんなこと言ったのよ?」
「あんなこと?」
怪訝な表情をするコイツにかなりイラついた。わかってるくせに! 白々しくわからないフリなんてするなよ! それでも怒りを胸の底に押しとどめて私は言ったんだ。
「仁衣菜ちゃん、アンタのこと好きだってわかってんでしょ」
「ああ、そうだけど。別にお隣さんって隠すようなことだっけ」
「私と仁衣菜ちゃんはね、同じ職場なの! 明日、絶対問い詰められるし……」
「ふぅん、同じ職場なんだ。いいじゃん? 正直に話せば」
またもや飄々としているコイツに私は溜めていたドロドロを吐き出すような気持ちでしゃべりだした。
「~~……ッ! アンタにはなんでもないことだったかもしんないけどね、私は……ッ!」
私は……私は……なんだっけ? なんて言おうとした、私?
「アイツはただのセフレだから。俺が何で気を使わなきゃイケナイのかな」
私はなんだっけ、なんて自分への問いかけなんてコイツの言葉で吹っ飛んだ。自分を好きでいてくれる相手にしかも身体の関係まで持ってそういう言い方ないよ! どうしてここまで怒りが湧いてくるのかわかんない。でも、怒りと同時に悲しい想いもいっぱいで。悲しみが目に溜まるように目に涙が溜まる。
「そういう……そういう人の心を弄ぶような態度、絶対、許せない……!」