にゃんこ男子は鉄壁を崩す
私たちの間に重い沈黙が流れる。電車のガタンゴトンという規則的な音だけが電車の中に響いていた。私たちがいる車両は数人だけど、その誰もが私たちの会話を盗み聞きしているような変な被害妄想まで生まれる。
気まずい雰囲気だけど、なぜだかとても悲しくて私はただ只管俯いて床を見るしかなかった。隣にいるコイツもそれからは何も喋ろうとはしない。
車内のアナウンスが私たちが降りる予定の駅名を告げる。私は顔を上げて立ち上がった。同じ方向に帰るわけだけど、コイツと一緒にいたくない気持ちが強くて。ドアがプシューっと開いたと同時に電車を降りて私は早足でホームを歩いていく。
隣に座っていたアイツも勿論、ついてきた。本当なら私の気持ちを察してコンビニ寄るとかして別々に帰るようにして欲しいけど。
奴に私の気持ちがわかはずない。きっと女の子の気持ちなんて考えたことないんだ。早足で歩いてたらやっと奴が声を掛けてきた。
「ね、由比子」
「…………」
答えたくもない。顔見たくないんだから先に帰ってくれればいいのに。駅から5分程度歩いて自らコンビニに入った。
「別に喋らなくてもいいけどさ。もう夜遅いし、一緒に帰ろ」
「…………」
そう言われると余計に意地を張ってコイツと帰りたくない、という感情が芽生える。今、きっと私は最高に可愛くない女だ。