にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 私は雑誌コーナーの前に立った。目の前のファッション雑誌をペラペラと捲る。隣のコイツがどう反応するのか気になってモデルがどんな服を着ているか、今、どんな服が流行っているかなんて全く頭に入ってこない。




「先、帰ってて。立ち読みしていくから」




 わざと冷たくして。少し奴が悲しそうな顔をするのを見たかったのかもしれない。反省しろ、反省を、とか思って思い切り冷たくしてやる。




「じゃ、俺も」

 一瞬、私の横顔をジッと見て私の目論見通り、悲しそうな顔をしていた。そして私の冷たい態度にもめげずに食い下がってきたのは予想通りだったけど。その顔を見て心の中でほくそ笑む私はやっぱりドSかもしれない。



 更に冷たくしたらどうなるかな。



「先、帰ってよ。一緒にいたくない」

「……わかった」




 奴はそう言い残してコンビニをさっさと出て行ってしまった。唖然として小宮の背中を見送る私。あっさり引き下がった奴に『なぁんだ』という気持ちとなんとなく心の中にぴゅう、と冷たい風が吹いた。


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