にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 なによ、あっさり引き下がっちゃって。もうちょっと食い下がってもいいんじゃないの。やっぱりアイツは女心わかってないし。




 例え、お隣さんであっても、知り合いであっても、友達であっても。『送らなくていいよ』っていうのは建前で。やっぱり夜遅かったら送ってもらいたいっていうのが本心なんだよ。そういうとこホントわかってない。




 かなりの時間長居をしてしまったので何も買わずにコンビニを出ることができなくなった私はレジ近くのガムを掴んでカウンターに置いた。あっという間に終わった買い物だけど、私は立ち止まる。




 コンビニ前にはさっきまでいなかった男の子たちが私をチラチラ見ては笑っている。な、何がオカシイわけ?! そう怒鳴り散らしてやりたい気持ちを抑えてコンビニを足早に去ろうとした。




 こっちから突っかかってなんか因縁つけられたら、恐いし。少し歩いて素通りすることに成功したかと安堵したとき、声を掛けられた。




「ちょっと、待ってよ、お姉さん」



 思わずビクッと震える身体。振り向くとやっぱりコンビニ前にいたおそらく大学生くらいの男の子。整った顔立ちをしているが、悪巧みを考えそうな食えない顔だ。



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