にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 目の前の3人の男の子は顔を見合わせる。おそらくこの3人の中でリーダー的な役割の整った顔立ちの男の子が「お姉さん、彼氏と待ち合わせしてたんだ。僕たち、夜だし物騒だから、お姉さん、アパートまで送ってあげるって言ってたんですよ」と言った。




 さっきの私を馬鹿にした態度とは一変してにこやかに小宮と話す男の子に無性に腹が立つ。殴ったろか、マジで。




 私を睨んでいるのを気づいた小宮は「彼女は俺が送るから大丈夫。君たちも強盗とか最近多いらしいし、気をつけてね? さっき、パトカーいてさ。警察官が言ってたよ。またこの辺で強盗がおきたって。ホント、物騒だよね? 由比子も勝手に一人で勝手に出歩かないでよね。俺、ちゃんと送るから」と私に相槌を求める。




 仕方なしに「う、うん……」と頷いておいた。男の子3人はやっと私のもとから去っていった。一気に緊張が解けて安心したのか熱いものが込み上げてくる。





「由比子? 泣くなよ……」

「泣いてないしッ……!」


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