にゃんこ男子は鉄壁を崩す
沸いたお湯をマグカップに注いでそれを持ってソファに座ってテレビをつける。カフェインなんて効かない俺にはホットのコーヒーなんて飲み始めれば眠くなくなるのは当然なわけで。
適当にチャンネルを回すけど、こういう時に限ってお気に入りのお笑い番組はやってないし、撮りためていた番組もこの間、見てしまったばかりだ。
目が冴えてしまったけれど、マグカップにコーヒーを残しておくのは性格的に許せない。だから、更に目が冴えるな、と思ったが、一気に飲み干した。リモコンのスウィッチを乱暴に消してガラスのテーブルの上に置くとガチャンと音を立てる。クッションに顔を埋める。
ハートのクッション。由比子の。怒りに満ちた由比子の顔をまた思い出した。置き去りにされた黒のレザーのティッシュカバーと○ニーちゃんのティッシュカバー。
使って欲しくて。これ、見たら笑うかな、とか考えながら作ったモノだったけど、ただのゴミと化したソレ。
由比子のバカヤロ……
俺は黒のティッシュカバーから目を逸らしてそのまま眠った。