にゃんこ男子は鉄壁を崩す
私の今の出で立ちは。真紅のマフラーを頭に巻いて口元も隠し、目は愛用のグラサンで。外にいるわけじゃないのだから、怪しさ満点だ。いや、外でこの格好でもかなり怪しいかもしれないが。
「ごめんね、今化粧落ちてて汚い顔してるから」
「そッスか。じゃあ……あ、あれ」
サササ! サササ! ビーグルの動きに合わせて私も動いた。当然のようにビーグルが私の部屋に上がり込もうとするので身体を呈してビーグルの行く手を遮ったのだ。
「もしかして、入れてくれないんですか」
「玄関まで」
ミィコのときのようなキス事件もある。やっぱり、男の人を家にあげるってのは勇気いるし。それに相手はあの火伊さんだ! 私に好意を寄せていると思われる火伊さん。
今は私に一筋(←ホントか?)みたいに見えるけど、実はかなり女の子と遊んでいる、という話をある筋から聞いている! いや、ある筋といっても百貨店に勤めている友達が火伊さんがいろんな女に(営業先の女)アクセを送ったり、なんだり、かんだりというのを聞いただけである。
男の本性なんてわかったもんじゃない。