にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ケジメ、ケジメ、ケジメ……つまり、告って玉砕してこいっつーことね。35の女にとってこんな勇気のいることないんですけど。仕事でトラブル抱えて立ち向かうことより勇気いるんじゃないか? 




 振られるのが恐い。傷つくのが恐い。嫌われるのが恐い。ん、もう嫌われてるかな。キツイこと言ったもんね……




「ケジメか。一生つけらんないかもね、私の性格じゃ」




「俺、不毛な恋のままスか。それとも由比子さんがフラレたら望みあります?」




 この期に及んでまだそんなこと言ってんのか、ビーグル。そんなところもホントはツボなんだけど。嬉しいんだけど。やっぱり君じゃないんだよ。




「多分ない」

「多分ってことは5%くらいは……」



「間違えたわ。絶対ない」

 ニヤリ、というよりはクスリ。そんな風に笑って彼を突き落とす。ついついね。そういう夢中になって話すところみるとついつい。




「そこ重要じゃないスか! 間違えないでくださいよ」



「ふふ、私ドSだから、困った顔見んの好きなんだよね」



「……趣味悪いッス……」

 はぁ~~~~ッと深い深―いため息をついたビーグルは座ったまま、頬杖をつく。でも、君が言うケジメとやらつけてみようかな? 勿論、ビーグルにはそのこと言わないけど。フラれて傷ついてボロボロになったとこ、年下のコイツには知られたくない。




 もし、フラレたって傷ついたって前の日常に戻るだけだから。



 そう考えたら、恐くないよ?



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