にゃんこ男子は鉄壁を崩す
――――なんでこんなことすんの? ミィコは何がしたいの?
紙袋の中を開けたら、私の目頭には熱いものが徐々に溜まってきて今にもこぼれ落ちそうだ。霞む視界。もう一度紙袋の中を見たら、それは呆気なく零れおちた。黒のレザーを濡らすソレは素直になれなかった自分を見捨てていくように留まることなく滑り落ちていった。
紙袋の中には○ニーちゃんのティッシュカバーと私の家にかつて勝手に置いていった黒のレザーのティッシュカバー。二つもいらないじゃん。そんなにティッシュカバーばっかりあってどうすんのよ。
ここまできても素直になれない自分が憎たらしい。私は目尻から流れてしまったソレをグイ、と拭って立ち上がる。紙袋を玄関の中に押入れて私はお店に向かうべく駅に向かうのだった。
お店に着けばあずちゃんは既に掃除を始めていた。こんなに落ち込んでる日でもやっぱり怒られるよな、という諦めにも似た感情となんだか何もかも投げ出してしまいたいような負の感情がぐちゃぐちゃに混ざり合う。
「おはよ、由比子ちゃん………………何か、あった?」