にゃんこ男子は鉄壁を崩す
わかりずらいオトコはイヤ
「あ……あずちゃん……」
あずちゃんが即座に気づいてくれて。やっぱり親友だよ、君は。だって私の変化にいち早く気づいてくれる。何も言わなくてもあずちゃんは私をわかろうとしてくれていることが今は何より嬉しかった。私はあずちゃんに昨日あったことすべてを話した。
「へぇ。仁衣菜ちゃんってにゃんこくんのセフレだったんだ」
あずちゃんの言い方に私は笑った。こんな弱りきった私を見ても変わらず接してくれるあずちゃん。過剰に心配するのではなく、いつものあずちゃん。そんなあずちゃんを見てると気分も落ち着いて私も笑うことができる。
「にゃんこくんって」私が笑うとあずちゃんも笑った。
「ほら、猫みたいなあだ名だったじゃない」
「ミィコ」
「そうそう、ミィコ。可愛い名前よね」
でも、それからやっぱりミィコが引っ越すってこと思い出した。だから、これも私の本音。
「でも、今更名前なんてどうでもいいなぁ、だって引っ越しちゃうんだもん」
だけど、ここは鬼のあずちゃん。いくら私が弱っている、と言っても甘いことを言う彼女ではない。