にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「好きなんだったら告白すればいいじゃない」
「え、告白?! 私がッ!?」
あずちゃんはゴミを掃いていた床ブラシの箒を立てて手を組んだ上に顎を乗せる。外見は編んだ髪を横でお団子にしちゃって横に垂れる髪の束とか頬に乗せたピンクのチークとか艶のあるリップとかホント女の子って感じなんだけど、その実は私にとっては潔くて姉御的な存在の彼女。
「それ以外に何があんの」
強気なその性格。私のSの心は全然ときめかないけれど、好きだよ、あずちゃん。だけど、イマイチ、決断できない私。こういう時、外見が身長デカくて顔も可愛い系より綺麗系(どっちかといえば、よ)。いつもサバサバしてると思われがちだけどホントはウジウジしてる時、結構ある。
溜まってくるとぶちまけてしまうのだが、その溜まる時間てのが、自分の恋愛となると結構かかるわけ。
だから、そんな時出る言葉は弱気な発言。
「……諦める、とか」
「なッッッさけなッ!」
そんな私をあずちゃんは容赦なくぶった切る。
「うう……あずちゃん、これでもアタシ、悩んでんだけど」
「だから、ウジウジしてないで告れっつってんの」
「だって、もう35だよ……? フラれるとか恐いじゃん……」
「ウザッ!」
あずちゃんは持っていた箒で私の足元へゴミを集めてシッシッとゴキブリ扱いだ。親友に対してここまでできるってやっぱり長年の付き合いだから。
「そういう言い方なくない~~? すごい扱いなんですけど」
「ウジウジしてるくらいだったら、さっさとフラれて次のオトコ探すなり、仕事に専念するなりしなさい!」