にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「そうですよ、早くフラれちゃってください」

 突然、私たちの後ろから声がして振り返るとそこには火伊さんが佇んでいた。いや、仕事だってのはわかってる! でも、言わずにはいられない! 



「どっから湧いたの、火伊さん」

「……強いて言えば店の入口からでしょうか」



 真面目だ! こいつ、こんな時さえも! 最初はチャラい奴だと思っていたのに真面目になってる! ……なんで? 



「普通に答えただけなのにその顔やめてもらえます?」




 そう言うと、ビーグルはカウンターの上に新しいカタログを置いた。ハッとした私は思わず顔に手をやる。そんな変な顔してたかな?!



「真面目になったのはなんでかな? とか考えてました? そんなのわかりきってると思ってましたけどね。俺は由比子さんが好きだから」




 心を上手く読み取られた私はまたまたハテナが頭の上に浮かぶ。




 ビーグルが私を好きだと真面目になる……? 




 なんで? 


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