にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ビーグルが店を去ったあとも新しいカタログは店内に残されている。あれ、工房の住所もこの間、行った体験教室の住所だ。ミィコと私は意外と近いところに勤めていたんだ、と今更知る。その住所の横には工房 松川の作業風景。そのカタログに掲載されている写真を見るとやっぱりミィコを思い出した。



 ――――時計を見るともうすぐ15時になる。



 仁衣菜ちゃんが来る時間だ。最近の若者はバイトを軽く見てるから、自分の都合が悪くなると無断欠勤なんて当たり前だ。



 しかも仁衣菜ちゃんの場合は私に原因がある。もしかしたら、今日は彼女は店に来ることはないかな、なんて考えてた。




「…………仁衣菜ちゃん」




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