にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「由比子さんは……小宮さんのこと何とも思ってないんですか……?」



 だからこそ、素直になる努力をした。何十年も意地を張り続けてきた分、ここで素直になってもいいじゃないか。



「…………好きよ。彼が好き」


「じゃあ、どうしてそんな他人事みたいな言い方するんですかッ?! 私と小宮さんが付き合ってもいいんですか? またセックスしてもいいんですか?!」



 もともと、感情的になりやすい私だけど、ひとまわり以上も年下の女の子相手だとどうにも感情的になれない自分。そんなところも私は素直じゃない。




「……嫌だけど私は彼のカノジョじゃない。だから、仁衣菜ちゃんとはライバルってことよね」



「ラ、ライバル……ですか?! 私……負けませんけど」



「あは、余裕で負けそう」

 彼女の若さと素直さに負けて感情的になれない。だから、笑って誤魔化した。でも、どれも事実だ。悲しいことに。うん、余裕で負けそう。



「笑い事じゃないです……」

 笑い事じゃない? 

 笑い事だよ。



 君には若さで負けてるし。

 胸の大きさも負けてるし。

 女の子らしさでも負けてるし。

 君はミィコとセックスしてるし。



 全然勝てる気がしない。



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