にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 あずちゃんは昨晩のことを問い詰めることなく黙々と雪かきを始めた。その何にもないのも恐いのだけど、ドキドキしながらも私も雪かきをするけど、夢中になって雪かきしていたら、あずちゃんとの約束をすっぽかしたことが頭の中からスッポリと抜けてしまった。




「あずちゃん、結構降ったんだねぇ! 雪山できた! かまくらできそうだなぁ」




 自分でもびっくりするぐらいさわやかな笑顔を彼女に向けてしまった。チロリ、と私のことを見ると答えることもせず、店内へ入っていくあずちゃん。



 いや、悪かったけどさ! 今、一瞬あずちゃんにしたこと忘れたけどさ! 一回行かなかっただけじゃん。そんな怒らなくても! 意外とサバサバしていると思われるあずちゃんだけどこういうところはねちっこい。




「あずちゃーん、ホント、ごめんて」



 ここは何度も謝るのを覚悟してあずちゃんの首に絡みついてみる。




「由比子ちゃん、君は昨日、誰といたのかなぁ?」





 ギク。

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