にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「ビーグルくん、なわけないか。やっぱりにゃんこくん?」
洗いざらい喋っておしまい、そしたら許してやらないこともないわよの雰囲気を醸し出すあずちゃんの前に私は黙るしかない。嘘とか、つける雰囲気じゃない。
あずちゃんの前では何故かそういうのできないんだよな。親友だからかな。嘘、つきたくないって気持ちは彼女の前では常にある。
「ううッ……」
「セックスしたんだ?」
セックスという言葉に過敏に反応する私。セックスなんて……何年…………してないんだ? 店を立ち上げてからは忙しくて恋愛なんて考える暇なかった。それでもしっかり恋愛してるあずちゃんはさすがとしか言い様がない。だから、慌てて否定したんだ。
「し、してない、してない!」
「じゃぁ、どこまでしたの?」
あずちゃんの尋問にすぐさま返答してしまう私。彼女以外の前ではこんなこと言えねーな!
「か、かるーくチュ、てやつ? いってらっしゃいのやつ」
「はぁぁぁぁ?! 一晩男女が一緒にいてそれだけ? それだけのために私、待ちぼうけ食わされたんだ? それだけのためにナンパされてナンパ男と飲む羽目になったんだ?」
ああ、あずちゃん。結構楽しんでたのね。なんて口が裂けても言えませんけど。ちゃんとどっかの男とお酒を飲んだらしい。出張中の彼氏には勿論内緒だ。
「うん、ミィコね? 風邪引いて熱があったからちょっと付き添ってたら私も寝ちゃったのよ。だから付き合ってるわけでもないし、セックスだってしてない」
「キスは何度もしてるのにねぇ……?」
「それもさ。よくわかんなくて。セフレオッケーと思ってる男だから私もその類の女と一緒にされてるのかも」
怪訝な表情をするあずちゃん。私もミィコのキスはホントなんか意味あるのか、ないのか、私もわかんなくて。
あったら、いいな、とは思うけど、ネ。