にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「火伊さんは小宮さんは由比子のことどう思ってる、と思う?」




 突然、あずちゃんがビーグルに質問する。どうやら私の主観的な意見じゃなくて、客観的な意見を聞きたかったらしく、ビーグルの言葉に耳を傾けた。




「プライベートなことはよく知りませんけど、あまり節操のない人なんでしょ? 手を出さなかったってことは大事にされてるんじゃないですか」




 口を尖らせて言うビーグルに「うっそだ!」と思わず返してしまう私。大事に、とか! されてるわけないし! だってセフレオッケーな男だよ? この間まで仁衣菜ちゃんとえっちしてたんだよ? しかもどんだけ年の差あると思ってんの! 




 こんな…………オバちゃん

 ミィコが本気で恋の相手に考えるわけ……ナイ。





「そういうえばちゃんと好きって言ったんだっけ?」




「う……言ってない」

 ビーグルとあずちゃんは互いに顔を見合わせて苦笑する。ちょっと、そこ! すっごく腹が立つんですけど! わかってますよ! いつも強気でドSなのにここぞって言う時にはチキンな私。




 なかなか本音を意中の人に伝えられないのは昔からだ。友達や後輩相手ならドーンと背中を押してあげられるけど、自分自身のこととなるとなかなか一歩前に踏み出せない。




「なんなら、俺から言っときましょーか。由比子さんが小宮さん好きだって。それで断りの返事もしっかりもらってきますよ」




「余計なお世話です!」

「ほら、もうすぐクリスマスイヴだし。ひとりのクリスマスを過ごすか小宮さんと過ごすか決めてくださいよ。俺、諦めきれないし」




「わかったわよ! 告白すりゃーいいんでしょ、告白すりゃー!! 今日、帰ったらしてやるわよ! フラれてきますよ、すっぱりと!」




 その言葉を言った途端、しまった、と思う。目の前の二人の顔はしてやったりの悪魔の顔。




 う! ハメられた!




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