にゃんこ男子は鉄壁を崩す
お互いに座ってからゆっくり話そうと思ったのだけど、ミィコはすぐに横になって私の膝に頭を乗せた。
…………?
なんだ、お前は! やっぱり猫なのか、お前は!
「ちょっとミィコ」
「俺ね、まだ風邪引いてんの」
「……うん」
「だから、まだ起きてるのツラーイの」
ムカ。
人が真面目に話そうとしてんのに。いつもなら、可愛いヤツ、とか思ったかもしんない。でも、今は私の膝の上でゴロゴロするミィコに腹が立つ。
「ちょっと!」
私の怒気など気にせずに「んー?」と暢気に返事をするミィコ。起きる気は全くないらしい。ミィコの肩に手を乗せると少し力が入る。その気配に気づいたのか、「ん?」と視線だけをこちらに寄越すミィコ。
絶対、起きない気だな……。
「ミィコって妙に自信家だし、ワガママだし、勝手だし、強引だし、女の子の気持ち弄ぶし……」
「由比子ぉ、悪口言いに来たの?」
「だから、その! 引越しなんてしちゃったら寂しいって話よ!」
「あはは、そうだね。だったら、もう少しこのままでいさせてよ」
あああああ~~~~っ!! 私の意気地なし!!
心の中で頭を抱える私だけど、ミィコはそんな私の心の中なんて全くわかってないんだろうな。
不意に私の膝の上で仰向けになったミィコは私にはっきり言ったんだ。
「俺はさ、由比子。由比子が好きだよ」
「へっ…………??!!」