にゃんこ男子は鉄壁を崩す
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ここは私たちのお店、いつものようにあずちゃんと恋バナを。そして何故かこいつも当たり前のようにいた。
「うう、あずちゃん、私もうダメかも」
カウンターに顎を乗せて項垂れる私に一緒になってカウンターに顎を乗せるあずちゃん。こうして見るとやっぱりあずちゃんは女の子らしいなぁ、なんて全然関係ないことを考えてみる。
「何がダメなの、由比子ちゃん」
「告白できなかった……」
「あらー」
呆れた様子のあずちゃんに俄然張り切るビーグル。君、ウザいって。私は今、悩んでんのよ。でも、暗くなりすぎずにすんでるのはビーグルのおかげかもしれないな、なんて思う。
「ここは俺の出番ッスね! 今から松川工房の商品取りに行くんで伝えてきますよ!」
「煩い、ビーグル……」
口ではこんなこと言っててもちょっとは感謝してんだよ、ビーグル。
「うわ、本性出ましたね、由比子さん。いいですけどビーグルでも」
「…………」
「あ、お客さん来たわね」
お客さんが庭を通って来るのが窓から見えた。
「じゃ、俺行ってきます!」
「ビーグル、絶対言わないでよ!」
「えっ」
マジで言う気だったんか。危ない、危ない。
「当たり前でしょー」
「ちぇ」と可愛く舌打ちするビーグルに苦笑する私。ビーグルもキライではないんだよね。可愛い年下には変わりないんだ。
ただ、彼に対して恋愛感情がないだけ。