にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 仁衣菜ちゃんはバイト。私は経営者。勿論、私のほうが帰宅時間は遅い。重い足取りでいつものマンションに帰ってきた。




 ……仁衣菜ちゃんはミィコの部屋にいるのだろうか。今日って仁衣菜ちゃん、どんな格好してたっけ。なんだか胸を強調するような服だった気がする。





 白いニットの胸元が大きく開いていて……胸の下で赤いリボンを結んでいて……まさに丼ぶり。ちょっと揉みしだいたろかーってなくらいでかかったなぁ……。




 私の胸は悲しいほどに平らだ。いや、若干ではあるが膨らみくらいはある。あの服の仁衣菜ちゃんとミィコの部屋で会うことになったら、と思うと太刀打ちできる気がしない。




 ミィコと仁衣菜ちゃんがセックスするのかもしれない、ということはすっごく嫌だけれど、なかなかミィコの部屋に行く決心がつかない。




 決心はつかないけれどモヤモヤした胸の奥を埋め尽くすそれは、たまに顔を出す私のマイナス思考サン。





 いや、君ね。顔出さなくていいんですよ。




 私、動けなくなっちゃうんだから。

< 245 / 281 >

この作品をシェア

pagetop