にゃんこ男子は鉄壁を崩す
仁衣菜ちゃんに勝つことができるかどうかなんんてわかんない。だけど、何にもしなくちゃきっとミィコを奪われて終わりだ。
マイナス思考サンを胸の奥にギュウギュウと追いやって私はひとつ深呼吸した。いざ、参ろう、ミィコの部屋へ! エレベーターが私の住む5階に着くと勢いをつけて降りようとしたら……扉が開いてそこに立っていたのはもしかして対決することになるかも、と思っていた仁衣菜ちゃんだった。
「仁衣菜ちゃん…………?」
「…………ッ」
それ以上は口にできず私は絶句してしまった。仁衣菜ちゃんの前が開けられたコートの中は白いニットの胸の下で結ばれていたリボンが解けてだらしなく下がっていたから。
偶然、解けてしまっただけなのか、自分で解いたものなのか、無理矢理ミィコが解いたものなのか。
仁衣菜ちゃんの後ろ姿を見て気づいてしまった。昼間バイトに来た時はパンストを履いていたのに、今、生足だ。真冬なのに。
再び私の喉元までグングン胸の奥から顔を出してきたマイナス思考サンは言う。
“仁衣菜ちゃんとミィコはもうヤっちゃったんじゃないの?”