にゃんこ男子は鉄壁を崩す
「仁衣菜ちゃんと……なんかあった……?」
不安だ。ホントは何があったか聞くなんて。聞きたくない、と思うけど聞かないとミィコに想いを伝えるなんて到底できなそうだ。
「? なんにも? 廊下で会ったんだ?」
「……うん」
「それ聞きに来ただけ?」
「アレどういう意味かちゃんと聞こう、と思って」
アレ、と言葉を濁したけど、ミィコは首を傾げて「アレ?」と聞く。
「ススス……」
「ススス?」
「私を好きだって……」
かなり小さな声になってしまったと思う。だけどミィコのその表情を見ればおそらく聞こえたのだと思う。キョトンとした顔をしていて、口を開けたまま私を見つめていた。それでも、暫くしてからミィコは答えてくれた。
「そのままの意味だけど? 俺は由比子の気持ちが聞きたいんだけど」
「私はッ……」
「由比子は?」
「ミィコのことがッ……」
「俺のことが?」
私の言葉を繰り返して聞くミィコに緊張が増してきて肝心の一言が出てこない。
「スゥ~~~~……う」
喉に何かが挟まっているように一言が言えなかった。
『キ』が喉に挟まってる!