にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「俺、仁衣菜ちゃんとはもう会わないよ。セフレももう作んない」




「……じゃあ、これは……?」

 私はゴミ箱の中のパンストを拾い上げるとミィコの眼前に垂らした。




「急に脱ぎ始めたからブーツとコートと鞄だけ持たせて部屋の外に放り出した」




 ミィコらしい、と言えばミィコらしい。なるほど、だからあの不機嫌な仁衣菜ちゃんと遭遇したのか。だけど……ミィコは私の気持ち、わかってた? 好きだってのバレてたのか?! 超、恥ずかしいんだけど、年甲斐もなく告白とか! 





 私が『好き』っていう前にというか言えないでいると、ミィコは「じゃあ、そのとおりだったら、頷いてよ、由比子。俺のこと好き? 勿論、男として」と言った。




 私はうぶな女の子のようにコクンと頷いて見せると、ミィコはそっと唇を重ねてきた。軽く小鳥が啄むようなキスを繰り返すと「今日はここまでだね、由比子」と言ってニコリとするミィコに「えッ」と思わず驚いてしまう私。




「生理なんでしょ」

「せッ……!」

 生理じゃない! と叫びそうになったけどそれを言ってしまったら、セックスしてくださいって言ってるようなもんじゃないか? いつの間にかミィコの膝の上に乗り、彼の首に腕を回していた私は一気に固まってしまう。



 明日はクリスマスイヴだってのに、生理、とか嘘つくんじゃなかったよ! いや、イヴだからセックスしたいってわけじゃないけれど!



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