にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 とりあえず、彼の膝の上からいそいそと降りて「え、えと。明日のイヴ。どうしよっか」と白々しく聞いたら、意外にも真面目な答えが返ってきた。




「俺も由比子も仕事じゃないの? 俺、引越しの準備もあるし。出かけるのとか無理かも」




「ひ、引越し…………するんだ、やっぱり」

「由比子ん家に転がり込んでもいいよ?」




 悪戯にゃんこの顔をするミィコに「え?」と聞き返したけど、冗談半分、本気半分といったところのミィコ。




「古いけど広いじゃん、このマンション」

「そうだけど……」

 いきなり同棲?! それはちょっと急じゃないかい、にゃんこくん。でも、反論の余地を与えない絶妙の間で「じゃあ、明日。由比子の部屋でクリスマス、ね」とミィコに私は「う、うん」としかいうことしかできなかった。




 それから松川工房の話や火伊さんの話をしたような気がするけど同棲のことが気になってほとんど覚えていない。



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