にゃんこ男子は鉄壁を崩す
ブチッブチッ……草をむしりながら思う。麦わら帽子に軍手に首にはタオル。いくら35歳と言えどこんな格好好きなオトコには見せられない。
「ねえ、あずちゃん」
「どしたの。由比子ちゃん。手が止まってるわよ」
あずちゃんは只管草をむしりながら、汗を流す。こんなときもいつもあずちゃんは一生懸命だ。そんなあずちゃんは恋バナをしたり、相談にも乗ってくれて私は友達としてとっても大好き。
「うん……なんか、私さ。久しぶりにオトコのことで悩んでるわ」
「えッ……!? もしかしてついに……?!」
今度はあずちゃんの手が止まる。私は照れ隠しじゃないけど必死に雑草を引っこ抜いた。
「ああー、久しぶりの彼氏とかそんなんじゃないよ」
「なんだ……」
人の恋路を面白がるあずちゃんにはちゃっかりカッコイイ彼氏がいるわけで。いや、いるからこそ、人の恋路が面白いのか。でも、今悩んでいるのは恋じゃなくてお隣さんについて悩んでいるわけだよ、うん。
「てっきり火伊さんとついに付き合うことになったかと思った」
その火伊さんというのは。あ、……来た。
「こんちわー!」