にゃんこ男子は鉄壁を崩す
抱きついていたミィコは離れるかと思いきや、そのまま私を押し倒してきた。『もういい』ってどういう意味だったんだ?! 慌ててマニュキュアの液が入った瓶をテーブルに置いたけど、蓋を閉める暇などなくてそのまま倒れて赤い液が溢(こぼ)れた。
「ちょっと! マニュキュア乾いてないんだから! そのへんについちゃうじゃん! ほら、液だって溢れて……」
全部の爪に塗ってしまったから思うように蓋が閉めれなくて苛立ちを隠せないでいると「もういいって言ったでしょ」との声が。
勿論、怒りマークをおでこに貼り付けて「はぁ?!」と怒気を含ませてミィコを睨む。
「そのへんについてもいい。溢れたやつも知らない」
にゃんこなコイツに睨みは効かないか。ワンコなビーグルだったら、忽ち、くぅーん、と擦り寄ってきそうなものなのに。強引、ワガママは猫みたいなミィコの特権かも。それでも絨毯や家具が汚れるのはちょっと。
「ちょっと! 私の家なんだから! こら! やッ……あッ……!」
手の指も足の指も変に固まらないようにパーにしてる私。つまり身動きがあまり取れない。薄い胸板をチョン、と押されれば丸まって全部の指を開いて固まってた私は自ずところん、と転がってしまう。
「うあッ……」
ゴチッ