にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 ……キッチンにあるどう見ても太らなそうな食べ物を見て私は冷蔵庫を開けた。冷蔵庫には一応、今日買った鶏胸肉が入っていて本当だったら明日、サラダとして茹でて和風ドレッシングで野菜と和えるつもりだった。

 でも、ペチャパイだのガリガリだの言われてサラダばかりというのも……。私は胸肉を包丁で薄く切り出してフライパンで香ばしく焼いた。サラダともずく酢と鶏胸肉の香味バター風味焼きを黙々と食べる。


 ……いいじゃん、Aカップでも。

 いいじゃん、ガリガリでも。


 
 食べたあと、お気に入りの赤いソファにゴロン、と横になった。放り投げてあるエコバックから明日の朝、食べようと思って買ったパンが顔を出している。


 私は起き上がって徐ろにそのパンを取り出した。まん丸としたあんぱんとクリームぱん。私はキャミソール一枚になって上から自分の谷間を覗いてみる。


 ……まな板に干しぶどうって私のことかいな。


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