にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 うッ……虚しい。

 なんだか……なんだか寂しくなってハートのクッションを胸に抱きながら、またそのまま寝てしまった。

 朝になり、目が覚めると流石に二夜連続化粧を落とさずに寝たせいか、鏡を見なくても肌の調子が悪いのがわかる。テーブルに置いてあった手持ち鏡で自分の顔を見るとやっぱりガサガサだ。

 わぁ、ひどい顔。

 しかも胸にはあんぱんとクリームパンが詰まったままだ。


『お腹すいた』

『あなた、ハイどうぞ』

『おお、お前の愛が詰まった人肌に温められたあんぱんだな』

『うふ、クリームぱんだってあるのよ』




 …………一人で小芝居をうつあたり、私は相当やばいかもしれない。


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