にゃんこ男子は鉄壁を崩す


「えと、その……声が聞きたくて……電話をしまし、た……」


 最初の勢いはどこへやらだんだん、声は小さくか細くなって聞こえないけどなんとなく予想はつく。演技じゃないとしたら、可愛いかもね。だけど、そんな簡単に信じやしないわよ。



「由比子ちゃん、あんまり火伊くん、虐めちゃ可哀想よ。とりあえず、中入ろうか。もうすぐ冬だから雑草も生えなくなってきたわ」

「そっか……ごめんね、あずちゃん、今日一緒にできなくて」


 顔を赤くしたビーグルを無視して店の中に入った。私の後ろには主人に従う忠犬のようにビーグルがついてくる。


「ううん、火伊くん手伝ってくれたから大丈夫よ。さぁ、寒い寒い。中、入ろ」

「ホントだね、最近、めっきり寒くなったわ。そろそろ雪でも降るかな」


 開店時間まで少し時間がある。私たちは店に出るとき用の服に着替えた。着替え終わると休憩室にビーグルを招き入れた。



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