にゃんこ男子は鉄壁を崩す


 意地悪だけど……だけど優しいあずちゃん。あずちゃんはいつも私の為を思って言ってくれるけど、ちょっとしたことを気にしてしまう私はオトコのことになるとグジグジウジウジしてしまう。


 その度にあずちゃんは私のケツを引張たたくように立たせてくれる友人なのだけれど。私だってわかってるよ? 付き合ってみなけりゃ、会ってみなけりゃ、何にも始まらないってさ。でも、恐いんだよ。私は。


 グジグジウジウジ考えていても面接の時間は迫っているわけで。面接予定の時間は10時。あと10分というところでドアのガラスの向こうに女の子が歩いてくるのが目に入った。


 来た!


 ドアが開くと私とあずちゃんは目を見開き、顔を見合わせた。目の前の可愛らしい笑顔は私たちのために振りまかれる。


「初めまして! じゃないですね。バイトの面接に来た北村です」



 黒のパンツにジャケットといったカッチリとした服装でぺこりと頭を下げる彼女に好感が持てる。


「おッ! こんにちは。奥で面接しますからどうぞ」


 あずちゃんがカウンターを開けて奥の休憩室に案内する。

 元気な声に礼儀正しい態度。いいじゃないの! あれよあれよという間に採用は決まって明日の午後3時から来てもらうことになった。



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